それは、数年ほど前の
ある、凍えるような雪の日のことでございます。
一台の車(あたしだよ)が、
ひたすら西に向かっておりました。
(こんなにきれいに雪がどかしてあったらまだ良いんですけど)
通常なら1時間ちょっとで目的地に着くはずなのでございますが、
あいにくその日は近年には珍しいほどの大雪となり、
更にお昼近くになっても気温氷点下という、
なんとも厳しい天候でございました。
道は大渋滞を極め、皆、とろとろと眠るような速度で
1メートル、2メートルと
やっとの思いで前進しておりました。
ようやく、
※勾玉の里(まがたまのさと)である※玉湯町玉造(たまゆちょう たまつくり)にさしかかった時のことでございます。
((※勾玉=古代の装飾品で、
くの字型のオタマジャクシのような形をしています。
ヒスイや、めのう、その他数種類の石からそれぞれ作られており、
運気の流れを改善に導いたり、
心の曇りを防ぐ効果があると言われ、
お守りとしても身につけられるそうです))
ここは玉造温泉があり、美肌の湯としても有名です。
また、日本一の大露天風呂のある旅館もあります。
春には川を挟み桜並木が風情を醸しています))
(写真と記事は関係ありません)
渋滞しているがためにほとんど停止していることの方が多く、
その時もわたくしの車もご多分に漏れず停止いたしておりました。
と、何気なく右側の窓ごしに看板が。
『馬でお越しの方は
こちらにおつなぎ下さい』
⁉ ハッアーーーーーーーーーーッ⁉
そこはレストラン(なのか、何なのかよくわからないような外見だが、ある意味有名なお店)の駐車場。
もはや車1台すら、入れそうにはないほどの大雪に埋まり
辺り一面真っ白でございました。
かろうじて車らしき形をした雪の塊なるものが
駐車場の片隅にひとつだけ。
人の足跡すらございませんでした。
あの、雪の塊と化した、おそらくは車であろうとおぼしき物は
いったいいつからここに停めてあったのでありましょうか?
察するに、その日の朝のことではないように見受けられました。
お店はと申しますと、外からうかがい見るかぎりは店内は真っ暗け!
ふと目にいたしましたのは、お店の前の看板でございます。
『只今満席!』
ンなわけないだろーーーーっ‼
失礼いたしました。
ところで
この日のこの大そうな悪路でございますれば、
家を出ること早、8時間\(゜ロ\)ココハドコ? (・ロ゜)・アタシハダレ? 状態。
(この間、食べることはもとよりトイレすら行っていない。これじゃあ、下関まで下道通って8時間かけて行っていた時の方がずっと楽だ)
着くはずの目的地の手前2~3㎞あたりで陽はすっかり暮れ
この様子では、目的地に着くまでにあと更に1時間以上はかかりそうな気配を感じ
わたくしは勇気を振り絞り
すぐ近くにございましたコンビニエンスストアと呼ばれるところの
雪の積もった駐車場へ
どうにかこうにか押し入りまして
Uターンを試み、再び国道へ割り込んで帰途に向かうことといたしました。
そして数時間後(帰り道のおよそ3分の1くらいのところでしょうか)
やはりまた、玉造の例のレストラン前の道も滞っておりました。
ちょいとばかり気になって
駐車場の方に目をやりますと
さすがに馬にはお目にかかれませんでした。
(あたりまえだろーが!)
で、気になるもう一つの看板
なんということでしょう! まだ満席のご様子!
看板にそう書いてございます(T_T)
『只今満席』
足跡もなければ、タイヤの跡もなく
律儀に車の形を呈した大きな雪の塊もそのまま……。でしょうよ(ーー;)
朝からなんも変わっちゃいないじゃん!
馬だってこんな凍った雪の中、何が楽しくて来るんだって話で
……桜が咲いていたとて、お馬さまでお越しになられるお方はいらっしゃらないでしょうよ……。
看板ネタ関連記事
(スポンサーリンク)
大雪で足止めになったら、↙あると助かります