「あのタンスはどこへやった⁈ あそこには命より大事なもんが入っちょる!」
義父が唐突に言った。
……? 命より大事なもの???
90歳の義父にとって命より大事なものとは?
興味津々。
それは何かと尋ねたら
「年金証書やなんかだわい」
年金証書……命より大事なんだ(・_・;)
90歳で収入を得るような技能職があるわけでなく一般に言う隠居暮らし。
年金証書って、そんなに必要に迫られることある?
ん~~~ん、ナゾだ。
大事なものは別のところに仕舞ったよと、場所も含め何度も説明して、実際に見せてあげたのにお忘れのようで。
しかもそれは今居るご自分の部屋にある別の戸棚付タンスの中。
「どこも探してもなかった!」
ほんとうに探したのかは定かではないが。
そんなに言うならと、その命より大切だという書類等を再び出してあげると、遠目から中身も見ず納得して「ふ~ん」で終わり。
見んのかいッ‼
そして数日後。
またまたおじいさま。
「ここにあったタンスはどこへやった⁈」
だから~あ、と説明。
どうにも納得されない。
「わしの知らん間に勝手なことをして!」
いやいや、タンスの移動の話も何度も致しましたよ。
そもそもそのタンスの移動とかって半年も前のことだし。
挙句の果てに夫とバトルが始まり手に負えない状況。
堪忍袋の緒が切れた夫はその問題のタンスを再び義父の部屋に戻した。
当のおじい様、タンスが元に戻ってきたことで満足なのか何事もなかったように過ごされた。
で、このタンス、空っぽなんですけど(^^;)
……が! 数日後
「おいっ‼ あのタンスに入っちょった大事なもんが無いが、どこへやった⁉」
まただ~ぁ💦
そこから始まる夫との再びのバトル。
結局良かれと思って仕舞った書類を全部引っ張り出して、空っぽにした元のタンスに仕舞い直すという……なにやってんだか。
このタンス、ここにあると足腰の弱った義父の動線を思うに邪魔になるんだけど、そう言っても納得しないからしょうがない。
これは果たして認知症の兆しなのか?
はたまたプライドがそうさせたものなのか?
単なる老化現象か?
なんだか知らないけれど、あのドタバタ以降、義父がタンスを開けて命より大事な年金証書とやらを見ているところを見たことが無い。
てか、タンスすら開けているところをも見たことが無い。
そもそも開ける筋力さえ残っていないような気もするが。
なにぶん、古いタンスなのだから。
命より大切なモノはめったに見てはならない(らしい)のだ……御年90歳……いつ見るのだ???
年金証書、生きているから必要で(さほど必要なものとも思えないが)、命に代えてまでもという価値は全くないと思うのだが???
へへ、てなことを呟くひさびさの鹿之助でした。
そんなこんなで毎日義父と奮闘中でございます。
お付き合いありがとうございました。
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